ノルウェーに学ぶ、親の離婚と子供の成長

2016年07月14日

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夫婦関係を見つめなおしたとき、数ある選択肢から「離婚」を選ぶ夫婦が日本で増えています。子供を守り、子供を中心に据えたノルウェーの離婚から、私たちが学べることは多いかもしれません。「離婚がおよぼす子供と家族への影響」を研究テーマに掲げ、2015年2月にノルウェーを視察訪問した2人の教授にお話を伺いました。

 

◆お話を伺った方
野口康彦さん(茨城大学 人文学部教授)
青木聡さん(大正大学 人間学部教授)

 

──「離婚と子育て」「離婚後の面会交流」というテーマの研究に取り組まれているお二人が、今回視察先にノルウェーを選ばれたのはなぜですか?

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野口さん(以下、敬称略):子供の親権が法律で保証されているなど、社会保障制度が充実しているのは知っていましたが、離婚後の具体的な養育方法など現地でしか聞けない話をしたかったのです。
 
青木さん(以下、敬称略):日本語補習校や子育て中のお母さん、離婚経験がある夫婦や「ブフェタット(Bufetat):ノルウェー子ども青少年家族局」という公的機関を訪れました。これは離婚を決めた両親が離婚後の子育てについてコンサルティングを受ける場所で、離婚が正式に決まるまでに最低1回訪問する必要があります。日本にはない、ユニークな制度ですね。

 
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野口:離婚後の子育てに関するノルウェー政府のケアは手厚く、面会や養育費の取り決め、子供への手当てが法的に定められていることから、離婚した両親が子供を共同養育しているケースも見受けられます。そうした子供に対しては、年間4万ノルウェークローネ(約50万円)の免税制度を準備するなど、養育をめぐる環境、特に経済面でのサポートも充実しています。

 
 

──日本とはかなり違うようですね。

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青木:日本には「単独親権制度」というルールがあります。離婚後は父親または母親のいずれかが親権を持つため、子供は「(非同居親に)会いたくても会えない。会えても月に数回・数時間」という状況が続くわけです。一方、ノルウェーでは子供の意思を7歳から正式のものとして認めます。
 
野口:DVや虐待の問題など難しい部分もたしかにあります。しかしブフェタットのように、離婚する夫婦が子供のことを話し合う機会を行政が強制的に用意するのは、子供にとっての救いになるでしょう。今回の訪問で多くのヒントが見つかりました。
野口:親の離婚を経験しても、子供たちが安心して暮らせる好例がノルウェーにはたくさんあります。生活に根付いたリアルな取り組みを日本にフィードバックするために、今後も引き続きノルウェーのライフスタイルをキャッチアップしていきたいですね。

 
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Terje Rakke / Nordic Life – Visitnorway.com (1,2,6,7)
Matti Bernitz – Visitnorway.com (3,4,5)