Volume01.2014 Number.09

人と自然が共存するバランス[株式会社ゴールドウィン]

ノルウェー人にとっての自然とは、脅威の対象ではなく一種のライフスタイルである。

北海から流れくる氷河が岩を削り、長い年月をかけて形づくられたフィヨルドをはじめ、過酷な野生をありのまま受け入れてきたノルウェー人にとって自然は脅威ではない。目の前にある、ただの日常だ。自然と共生するライフスタイルには、なにも特別な意図など込められていない。
そんなノルウェーライフを応援するウェアブランドの筆頭が「HELLYHANSEN(ヘリーハンセン)」である。いまから140年ほど前、1877年にノルウェーの厳しい環境の中で漁業に従事する人のために作られた防水衣料からヘリーハンセンの歴史は始まっている。その後、オーシャンレースに参加するセイラーやプロスキーヤー、冒険家など、海や山に挑戦する人たちに愛されたヘリーハンセンは、アウトドアブランドとしての地位を確立するとともに、カジュアルユースとしての存在感も高めていった。
ヘリーハンセンが生まれたノルウェーでは、国家単位で福祉・教育施策に力を注いでいる。日本でいうところの成人が18歳ということもあり、若くして自立を果たし、仕事や生活を心から楽しんでいる人が多い。性格はいたって慎重だ。自然の厳しさが生活に密着していることもあり、“無理をしない”人が多いようだ。
それはデザイン事務所やカフェなどを創業する際、何人ものオーナーがいることからも見受けられる。一人で完遂するのが難しい場合はシェアして乗り切り、互いの存在を認め、サスティナブルに生活するスタイルは、日本人である私たちからするとうらやましくも思える。
ノルウェーには、「フリルフスリフ(Friluftsliv)」という言葉がある。これはノルウェーの伝統的な考え方で、直訳すると“自然に囲まれたありのままの暮らし”という意味。自然とともにシンプルに暮らし、自然の中で身体を動かすことで、自らが自然の一部であることを実感するライフスタイルのことだ。
ヨットやスキー、本格的な登山も森での散歩も、すべてフリルフスリフにあてはまる。とある調査ではノルウェー人の79%がフリルフスリフを実践しているとか。自然環境・資源保護の意識が高く、電力のほとんどを水力発電でまかない、ダム開発においても湖や自然の地形を利用するなど、自然との調和に重きを置くノルウェーならではのマインドといえよう。

[ History ]ノルウェー発祥のアウトドアブランド「HELLY HANSEN」は、商船隊の船長だったヘリー・J・ハンセンが1877年に設立した。過酷な環境下で生活や仕事をする漁師や北海油田で働く人のために開発された衣服が多い。亜麻仁油をしみこませた防水ウェアの発明は画期的であり、火事が多かった港町モスのFIRE BUCKET(消化バケツ)としても利用されるなどその用途を広げていった。現在に至るまで新素材を開発し続け、ボートレースなどのプロスポーツチームにも提供されている。また、自然と共生することを啓蒙する『think! キャンペーン』など、環境問題にも力を注いでいる。アウトドアからタウンユースまで、あらゆる使用状況をサポートするブランドだ。コンセプトは「from ocean to mountain」。