Volume06.2016 Number.04

ノルウェーの画家、エドヴァルト・ムンクに共感していた
版画家・斎藤清を知る旅へ[斎藤清美術館]

斎藤清は、1900年代を代表する版画家。日本の現代版画のすばらしさを世界に広めた人物です。ノルウェーの画家、エドヴァルト・ムンクとのつながりとは? それは、両者の生い立ちや独自の版画技法を紐解くなかで明らかに。さあ、斎藤清の奥に潜むノルウェー文化を感じる旅へ出かけてみませんか?

ムンクに心を引き寄せられた斎藤清

イラストばかりを描いていた幼少期を経て、好きな画家の模写により、ほぼ独学で絵画や版画の技術を習得していた斎藤清。なかでも、ムンク作『病める子』の模写では、光の明暗の表現で画面を構成する西欧絵画の技法を研究した成果が表れています。
「それは、必ずしも思想的なものではなく、夢を感じたり、同質感を感じたり、自然に引き寄せられていった。特に、ムンクに関しては、北欧的な幻想や夢に、東北生まれの自分が同質のものを感じ……」と語っていたのは、クロッキーを学んでいた33歳のころ。4歳のとき、父の事業の失敗で福島県会津から北海道へ夜逃げ同然で移住後、12歳で母を亡くしている斎藤清には、メランコリックな姿態を造形化した作品が数多く存在します。これは、ムンクが5歳のときに母が、13歳のときに姉が亡くなるという不幸が続いた経験から死への不安や恐怖から逃れられなくなり、作品へ影響することもあったという事実と重なる部分があるのかもしれません。
そのほかにも、大胆かつ繊細な浮世絵技法を取り入れたり、木目を生かした技法を編み出していたふたりには、同質性を感じさせる要素があることを確認できます。


斎藤清の楽しみ方

1唯一無二の構図
形の変化や色彩の陰影におもしろさを見い出し、理想とする構図へと導くのが斎藤清のスタイル。桂離宮や法隆寺、ニューヨーク、パリを描いても、見慣れた構図では描きませんでした。

2独自の木目技法
板木を鉄の棒で引っかいていたとき自然にでてきた木目を、表現手法のひとつとして活用。その後、木目をさらに彫りこんで、その木目を装飾的に配するという独自の技法を作り上げました。

3コラグラフ技法の第一人者
コラグラフとは、いろいろな素材を貼りつけたり塗ったりして作る版画のこと。日本の版画界では、鋭い直感力や構成力などが集結した斎藤清のコラグラフを超える作品はいまだ出現していないのだとか。

フロムからグドヴァンゲンまでの約2時間は、フィヨルド観光船にて移動。10月は、さまざまな木の葉がきれいに色づく季節。その大自然のなかで共存するように佇む家や、2005年にユネスコ世界遺産に登録された神秘的かつ壮大なネーロイフィヨルドを、船上から満喫できる。

<お問い合わせ>
斎藤清美術館
0241-42-3630
https://www.town.yanaizu.fukushima.jp/bijutsu/