【Interview 前編】ノルカルTOKYO、北欧音楽に魅せられて──

2017年10月10日

セリエ・フルート、口琴、ハーディングフェーレ……北欧ノルウェーの豊かな自然が育んだ伝統楽器を奏でるノルカルTOKYOは、ノルウェー出身のMorten J. Vatn(モーテン・ヨアキム・ヴァテン)さんと、日本人ハーディングフェーレ(ハルダンゲル・フィドル)奏者 酒井絵美さんによる音楽デュオです。今回はスペシャルインタビュー前編として、酒井さんにノルカルTOKYOの結成から現在までの活動内容を伺いました。

 

 

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──独自のスタイルでノルウェーの伝統音楽を奏でるノルカルTOKYO。結成のきっかけを教えていただけますか?

 

東京藝術大学の先輩・後輩として出会ったモーテンの第一印象は「ひたすらビールを飲む人」でした。当時大学1年生だった私にとって、古美術研究旅行の合宿先に大量のビールを買いこんでいた彼の姿はインパクトが強かったのを覚えています。その後、他のノルウェー人とも接するようになり、ノルウェー人にとっては一般的な酒量だったということを知るのですが(笑)。モーテンは当時から日本語が堪能でしたし、日本文化や日本の偉人にも詳しく、日本に関するいろいろなことを逆に彼から教えてもらいました。その後、モーテンは友人のバンドにピアノ奏者として、私はヴァイオリン奏者として呼ばれ、同じステージに立ったのをきっかけに仲良くなりました。

 

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──デュオとして活動を始めたのは2015年と伺いました。

 

北欧音楽のイベントに“ノルウェー代表”として呼んでいただいたとき、ノルウェーと日本の文化を橋渡しする存在として「ノルカルTOKYO」という名前をつけました。それより前にもノルウェー王国大使館のレセプションなどで演奏したことはありましたが、ノルウェーの伝統音楽に私たちが培ってきたエッセンスを加え、独自の音楽として進化させていこうと決意したこのときをノルカルTOKYOの結成時期としています。

 

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──2016年3月にはアルバム「ヘイドゥルン Heidrun」をリリース。日本-ノルウェー協会の新年会や憲法記念日のレセプションパーティーなど、活動の幅を着実に広げていっていますね。

 

ノルウェーの音楽文化を紹介する立場として演奏できるのは本当に光栄なことです。最近ではノルウェー民俗舞踊ハリングの名手、Ulf-Arne Johannessenと共演するなど、ノルウェーアーティストとのコラボレーションにも力を入れています。

 

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──先日は国際的なクラシックの祭典ラ・フォル・ジュルネに、「ノルカルTOKYO+ウルフ=アルネ・ヨハネッセン」として出演されました。

 

ノルウェーのアーティストと共演するのは、本場の一流のアーティストを日本に紹介し、同時にノルカルTOKYOの音楽を世界に伝えるため。ウルフ=アルネさんや多くのミュージシャンとのコミュニケーションを通じて、音楽性に奥行きが生まれたようにも感じます。いまはノルカルTOKYOというユニットと、ハーディングフェーレという楽器を一人でも多くの方に知ってもらいたい、そのためにまずは「なんでもやってみよう」と考えています。

 

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──そうした姿勢が“これから”につながっていくわけですね。

 

ハーディングフェーレを携えて、いろいろな分野で活躍している方と共演することで「ノルウェーって国にはこんな音楽の文化があるんだ!」ということを知ってもらいたいですね。最近では和太鼓と完全即興でコラボレーションするなど、私にとってもチャレンジングなことをしていますし……。

 

 

とここで、私たちの後ろの席に座っていた方々がハーディングフェーレに興味を持たれてお話をするように。聞けば南米アルゼンチン在住のチャランゴ/オカリナ奏者 佐野まりさんと、グラミー賞ノミネート歌手のAco Takenakaさんとのこと。自然な流れでセッションがスタートしました!

 

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★佐野まりさんのブログ「佐野まり はちどりの庭 Mari Sano Jardin Colibri」

https://plaza.rakuten.co.jp/marisano/diary/201705020000/

※このときの模様を書いていただいています。

 

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──偶然の出会い、そして即興のアンサンブル……驚きました!

 

音楽をやっていて本当によかったと思えるうれしい瞬間! こうした出会いの一つ一つが積み重なって“私の音楽”になるんですよね。素晴らしい体験でした。

 

──今後は日本とノルウェーの文化を橋渡しする存在として、さらに力を入れていくつもりとか。

 

日本にアーティストをお迎えするだけでなく、ノルウェー本国でも演奏活動をしていきたいと思っています。実際、今年の2月から3 月にかけて1カ月ほどノルウェーに滞在したのですがそのときは──

 

※酒井さんのノルウェー滞在中のお話は【インタビュー 後編】でお届けします。

 

 

◆取材協力

COUZT CAFÉ/コーツトカフェ

東京都台東区谷中2-1-11

http://www.couzt.com/

 

■ノルカルTOKYO

東京藝術大学在学中に出会い、2015年にデュオとしてデビューしたノルカルTOKYO。ノルウェー伝統楽器のほか、ピアノ、電子楽器を演奏するノルウェー出身のMortenと、フィドル奏者・音楽民族学者としてノルウェー滞在経験があり、フィドルとハーディングフェーレを演奏する東京出身のEmyによるデュオです。

公式サイト:https://www.norkul.com/

 

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◇モーテン・ヴァテン / Morten Vatn

セリエ・フルート、山笛、山羊の角、口琴、ピアノ

ノルウェー オスロ生まれ。オスロ国立音楽大学卒業後、グリーグアカデミー音楽大学院と東京藝術大学院音楽研究科を修了。3年間オスロ大学楽理科教員を務める。専門領域はサウンドレコーティング、音楽教育、ポピュラー音楽史、作曲、民族音楽学、音楽ワークショップ、創造的音楽学習。ノルウェー民族音楽界、ジャズ界、ヒップホップ界において、プロデューサーや奏者、イベント企画者として活動。ノルウェーでもっとも権威ある音楽賞「スペレマンプリセン」のクリエイター賞やゴールドディスク大賞を受賞している。

 

◇酒井絵美

ハーディングフェーレ、フィドル

東京藝術大学音楽学部楽理科卒、同大学院音楽研究科音楽文化学専攻(音楽民族学)修了。現在、同大学演奏藝術センター教育研究助手、東京大学教養学部鈴木寛ゼミナール「学藝饗宴」藝術&身体表現領域アシスタント。学部時代から、アイルランド・東アラブを中心に世界各地のヴァイオリン奏法に親しむ。大学院修了後はノルウェーに定期的に滞在し、ハーディングフェーレ国際マスタークラスに参加するなど、地域を広げてフィドル奏法の調査・研究・演奏を行う。